台湾風のレストランは、我々日本人の耳からのぞくと、以前から総じて騒々しい。あまり客が居なくても調理場の火勢の音、調理器具の音、換気扇の音、それに仕事をする人達のざわめきなど、残留騒音的な物がある(LAeq:74dB)。さらに客が増えるにつれて、彼らの会話等に拍手や元々の音が加わり、店内全体の騒音のレベルは上昇する(LAeq:78dB)。しかし自動車や工場の音と音質が違うためか、嫌悪感を抱くような音ではなく、何となく親近感を持てる音の雰囲気である。このような店内で愉快に好朋友達が食事すると必然的に声も大きくなる。
話題に事欠くことなく大きな声で喋り、笑い、食べながら、互いに酒を酌み交わす(ここでは酒は必ず誰かと一緒に飲み、一人で勝手に飲むことはないが)まさに好朋友達の健康の源であろう。
さて会話であるが好朋友達は最低4〜5種類の言葉を使い分けている。北京語、広東語、客家語、台湾語(みんなん語)、英語等々、それにていねいな日本語である。彼らは一つの話題の中に、たくさんの言葉を散りめぐらせ会話をしているが、驚くほど日本語の部分が多い。たまたま筆者が同席をしているため、気を使って日本語を喋っている訳ではなく、いつもこのようであるとのこと。
私の耳と目からは共通の言葉が日本語のように思えるくらい、使用する度合いが多い。好朋友達は、中学生位まで日本語での教育を、台湾あるいは日本国内で受けており、脳裏に言葉についても懐かしさと同時に、若い頃の面影の一部として残っているのではあるまいか。また大先輩同志、好朋友の集まりに気軽に迎え入れてくれる信頼感と人的つながりに心温まる思いであった。
(注) ※)LAeq:90dBとは、もしこの音が8時間続くとすれば聴力障害を生じる位の値である。日本においては、ILOの勧告等により平成4年労働安全衛生規則の一部改正を行い「騒音障害防止のためのガイドライン」を定め騒音職場を管理している。LAeq・8h:85dB未満の場所はそのレベルを継続維持することとし、LAeq・8h:85〜90dB未満の場合、作業環境を改善する、また必要に応じ防音保護具を使用しなければならない。
言葉は民族によってその発音が異なり、特に日本語の口腔の構えと大きく違う。そのため同一の言葉を発声しても、その音量や周波数成分もやや違う可能性がある。
先日筆者が台湾への往来に利用した航空機の機内放送でのこと、日本人がアナウンスした場合81dB・A(MAX)、中国人が日本語でアナウンスした場合88dB・A、また同じ人が母国語である中国語でのアナウンスでは91dB・Aであった。感覚的でなく、物理量としても中国語(人)の発声は大きなレベルか?
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